準工業地域内の広々とした田園地帯に点在する小さな住宅地の一角にある。近くの道路は交通量が多く、大型車両が行き交う事から、外部と適度な距離を取りながら近隣にやさしく溶け込み、開放的な内部を作る事を計画の軸とした。住宅街に対して圧迫感のない平屋建てとし、シンプルな形状。４つの屋根を持つ平屋屋根は３種類の勾配を持ち、中央に外部吹抜を持つ外観から、見る角度によってさまざまな表情を見せてくれる。部分的にへこんだ外壁は雨宿りの場として、中央の中庭（光井戸）は通気口、光取りとしての機能を担い、中庭を介して各部屋が緩やかにつながる事を意識してる。大樹の大きく張り出した枝葉を思わせる屋根は、内部からも包み込まれている事を意識出来るように、屋根勾配に合わせた三つの勾配天井を持つＬＤＫとなっており、安心感を与えてくれる。どっしりと根を張り、こもれびを落とす枝葉の下に住まう家族のための場所である。

所在地：石川県白山市
構造規模：木造、地上1階
用途地域：準工業地域
敷地面積：417.87㎡
建築面積：172.24㎡
延床面積：159.82㎡